kashiwabara001
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捨去るには余りに惜しく昭和十八年以来筐底深く蔵すること十五年艱苦血涙に満ちた屯営並びに第一線の生活と悲喜織なせる軍報道部の生活の想出をここに綴る幸にして第一線の辛苦は報道部の楽天地に変じたものの家恋しの念は一貫して五年の間終始切々として胸奥を流れたことは終生忘れ得ない処であると共に漢口の生活と風景は十五年後の今も尚眼底に髣髴として懐しい過ぎし日を偲ぶと共に生還今日を得ある身を思うとき遂いに懐しの祖国に還ることも得ず中支を始め全戦域に亘り戦野の露と消えた幾多の護国の英霊に対し謹んで深き哀悼の意を捧ぐ

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