kashiwabara005
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満々たる洞庭の水を真下に見下ろす 岳陽楼 君山と相対して水天一髪水際に屹立する三層の甍は見ずに映じて 印象深い昔は聞く 洞庭の水今は上る 岳陽楼呉楚は東南に坼け乾坤は日夜に浮かぶ親朋 一字無く老病 孤舟有り戎馬 関山の北軒に憑れば涕泗流る杜甫の詩に名高いこの楼閣を親しく見得たことは思出の一つであり十月七作戦終了 午後九時 御用船に乗つてふりかえったとき満月がこの楼をシルエツト 浮かせ金波銀波 輝いていた光景は思わず 声をあげて讃美したことであった

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