atoingashu001
131/176

 ●鵜飼船(蘇州郊外) 斷橋のあなたから帆船が二ツ下りて來る。川は次第に廣がつて江村の夏の晝は森閑としてもの靜かだ。木蔭に憇ふて居た鵜飼船は水面に大きな波紋を描いて船を河心に進めると鵜は一齊に船側に隨つて泳ぐ。やがて鵜は水中にくゞつたかと思ふと鵜飼は船ばたを叩き聲を勵まして切に號令を發して獲物に氣合をかける。而して獲物に胃の腑をふくらました鵜はポカツト水面に浮び上ると長い竹鈎のついた棹で船に引よせその獲物を吐かす。かゞり火を焚いて水中に日影を落しつゝ欵合の聲を流がす夏の夜の情趣はなくも鵜飼は確かに夏の畫題だ。 (印畫の複製をお斷りします)//●鵜飼船(蘇州郊外) 断橋のあなたから帆船が二ツ下りて来る。川は次第に広がつて江村の夏の昼は森閑としてもの静かだ。木蔭に憇ふて居た鵜飼船は水面に大きな波紋を描いて船を河心に進めると鵜は一斉に船側に随つて泳ぐ。やがて鵜は水中にくゞつたかと思ふと鵜飼は船ばたを叩き声を励まして切に号令を発して獲物に気合をかける。而して獲物に胃の腑をふくらました鵜はポカツト水面に浮び上ると長い竹鈎のついた棹で船に引よせその獲物を吐かす。かゞり火を焚いて水中に日影を落しつゝ欵合の声を流がす夏の夜の情趣はなくも鵜飼は確かに夏の画題だ。 (印画の複製をお断りします)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 131

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です