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 ●筏組み(鴨綠江上流にて) 朔風心腸に凍る吹雪に膚肉を裂き、冴江かへる夜馬賊の銃火に魂消江て十月より十二月迄貧しき生を營む三万の樵夫の雪の一冬、嵐の一冬。勞役の困憊を罩めた採木は、春めぐり來て雪解けの水溫めば、小川を傳ふて一本亦一本、水を堰めては流し、流しては堰めて或る地點迄來ると流材は丘に上げられて切口へ穿口し楢の細木を撚ぢて柔軟にしたもので穴を綴つて再び浮された時はささやかな人生を流す筏となる。 (印畫の複製を嚴禁す)//●筏組み(鴨緑江上流にて) 朔風心腸に凍る吹雪に膚肉を裂き、冴江かへる夜馬賊の銃火に魂消江て十月より十二月迄貧しき生を営む三万の樵夫の雪の一冬、嵐の一冬。労役の困憊を罩めた採木は、春めぐり来て雪解けの水温めば、小川を伝ふて一本亦一本、水を堰めては流し、流しては堰めて或る地点迄来ると流材は丘に上げられて切口へ穿口し楢の細木を撚ぢて柔軟にしたもので穴を綴つて再び浮された時はささやかな人生を流す筏となる。 (印画の複製を厳禁す)

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