atoingashu001
168/176

 ●元の土城趾(北京郊外) 華かな世界統一の幻影に見せられた元の忽必烈は、先づ武威四邊を壓して燕京に築城した。然し蒙古人特有の力のみの信仰は、文化燦然と輝く中原に立つとき脆くも眩惑して、只一個の暴力の偶像にしか過ぎなかつた。風物蕭條の中、危く支ふるラマ塔の崩れ、蜒々たる土城の廢墟は、元の滅亡を語つて、北京郊外秋轉た淋しきものがある。 (印畫の複製を嚴禁す)//●元の土城趾(北京郊外) 華かな世界統一の幻影に見せられた元の忽必烈は、先づ武威四辺を圧して燕京に築城した。然し蒙古人特有の力のみの信仰は、文化燦然と輝く中原に立つとき脆くも眩惑して、只一個の暴力の偶像にしか過ぎなかつた。風物蕭条の中、危く支ふるラマ塔の崩れ、蜒々たる土城の廃墟は、元の滅亡を語つて、北京郊外秋転た淋しきものがある。 (印画の複製を厳禁す)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 168

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です