atoingashu001
26/176

 ◆九龍淵(金剛山) 溫井里から神溪寺、玉流洞、飛鳳瀑等の幽峽を過ぎ、二里餘町進んだ頃大地も碎けよと落下する一瀑がある。是れが山中第一の巨瀑で高さ百七十尺、日光華嚴の瀑に優るとは云はないが瀑上、瀑下一面一枚の磐石からなつて、夫れに穿たれた面積五十坪、水深四十尺の瀧壺の凄艷さは到底華嚴の夫れが及ぶべくもない、幽麗且つ神秘的のもだ。瀑壺の向つて左端に六尺豐の人夫を立たしたのだがボーフリの如くに哀れに小さく見える。五十三佛に追はれた九龍は瀑上の八潭と瀑下の龍壺とに住んでゐたのだと謂ふ。成程、龍でもゐさうな凄い光景である。 (種板番號 三五六)//◆九竜淵(金剛山) 温井里から神渓寺、玉流洞、飛鳳瀑等の幽峡を過ぎ、二里余町進んだ頃大地も砕けよと落下する一瀑がある。是れが山中第一の巨瀑で高さ百七十尺、日光華厳の瀑に優るとは云はないが瀑上、瀑下一面一枚の磐石からなつて、夫れに穿たれた面積五十坪、水深四十尺の滝壷の凄艶さは到底華厳の夫れが及ぶべくもない、幽麗且つ神秘的のもだ。瀑壷の向つて左端に六尺豊の人夫を立たしたのだがボーフリの如くに哀れに小さく見える。五十三仏に追はれた九竜は瀑上の八潭と瀑下の竜壷とに住んでゐたのだと謂ふ。成程、竜でもゐさうな凄い光景である。 (種板番号 三五六)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 26

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です