atoingashu002
51/186

●漁舟(南支)水に生れ、水に育ち、水に戀し、水に死ぬ水上生活者の職業にも色々あるが漁師もその一つだ。板子一枚を唯一の身上として親もあれば子もあり孫もある一家族が、結婚すれば裕かなものは新船を購ふて分家し、貧しきものは舊船を求めて新夫婦の圓かな夢を水に浮かす。四ツ手網の獲物がたとへ市場にひさぐ程の量はなくとも一家の食膳を賑はすだけの獲ものにはならう。紐で船床にくゝりつけられた子供が河風と日光にさらされてそれも一人前に生長するのも不思議だ。(印畫の複製を嚴禁す)//●漁舟(南支)水に生れ、水に育ち、水に恋し、水に死ぬ水上生活者の職業にも色々あるが漁師もその一つだ。板子一枚を唯一の身上として親もあれば子もあり孫もある一家族が、結婚すれば裕かなものは新船を購ふて分家し、貧しきものは旧船を求めて新夫婦の円かな夢を水に浮かす。四ツ手網の獲物がたとへ市場にひさぐ程の量はなくとも一家の食膳を賑はすだけの獲ものにはならう。紐で船床にくゝりつけられた子供が河風と日光にさらされてそれも一人前に生長するのも不思議だ。(印画の複製を厳禁す)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 51

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です