atoingashu004
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●土屋の木賃宿(綏遠省・五原) 店は謂ふまでもなく宿屋だ、小店は一段下がつた木賃宿である。土屋の入口を入ると突當りは炊事場でその兩側が炕になつて旅人の寢所だ。夜具も食料も旅客持參のもので、宿賃は人間も馬も銅子兒の三十枚と決まつて居る。 カンテラに照らされた夜の土窟の光景は何んたるグロテスクなことよ。前後左右に雜魚寢の姿は、鈍よりと重く濁つた異臭の空氣の中にもの凄く橫つて、旅人の夢は地獄をさまよふ感がある。 (印畫の複製を嚴禁す)//●土屋の木賃宿(綏遠省・五原) 店は謂ふまでもなく宿屋だ、小店は一段下がつた木賃宿である。土屋の入口を入ると突当りは炊事場でその両側が炕になつて旅人の寝所だ。夜具も食料も旅客持参のもので、宿賃は人間も馬も銅子児の三十枚と決まつて居る。 カンテラに照らされた夜の土窟の光景は何んたるグロテスクなことよ。前後左右に雑魚寝の姿は、鈍よりと重く濁つた異臭の空気の中にもの凄く横つて、旅人の夢は地獄をさまよふ感がある。 (印画の複製を厳禁す)

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