atoingashu004
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●穴居の鞴(察哈爾省・卓資山) 穴居の内側正面のところには炕が作られる。見たところ廣さ二坪ばかり、天床の突抜け窓からは異樣な外光が穴の中に差し込んで、怪奇な部屋の光景を現出せしめる。くすぶつた土色の老媼が默念として器械的に左手を運動せしめて居るのは、鞴を用ゐて炕の火力を起さんとして居るのだ。此邊には木の燃料といふものがない。焚ものとなるのは僅かに草ばかりである。地上に立登る細々とした白煙の悲しきことよ。 (印畫の複製を嚴禁す)//●穴居の鞴(察哈爾省・卓資山) 穴居の内側正面のところには炕が作られる。見たところ広さ二坪ばかり、天床の突抜け窓からは異様な外光が穴の中に差し込んで、怪奇な部屋の光景を現出せしめる。くすぶつた土色の老媼が黙念として器械的に左手を運動せしめて居るのは、鞴を用ゐて炕の火力を起さんとして居るのだ。此辺には木の燃料といふものがない。焚ものとなるのは僅かに草ばかりである。地上に立登る細々とした白煙の悲しきことよ。 (印画の複製を厳禁す)

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