atoingashu006
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◉講書の女 若い藝妓の『講書』語りである。無表情で、語るともつかず、歌ふともつかぬ『講書』が、大衆に受けるのはその物語りの筋といふよりも、その美貌のためであり、その若い聲と蜿味線の音と、それに混つて輕く叩かれる皷との、音樂的調和に引きつけられるからである。舞臺が挾く、トタン板で造つたヤカンの見える邊り、大きな舞臺ではなかるべく、蜿味線ひきの目つきからみると、この藝妓、まだ大して慣れぬと見える。 (印畫の複製を嚴禁す)//◉講書の女 若い芸妓の『講書』語りである。無表情で、語るともつかず、歌ふともつかぬ『講書』が、大衆に受けるのはその物語りの筋といふよりも、その美貌のためであり、その若い声と蜿味線の音と、それに混つて軽く叩かれる皷との、音楽的調和に引きつけられるからである。舞台が挟く、トタン板で造つたヤカンの見える辺り、大きな舞台ではなかるべく、蜿味線ひきの目つきからみると、この芸妓、まだ大して慣れぬと見える。 (印画の複製を厳禁す)

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