atoingashu007
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● 場末の料理屋 (大黑河) ふと細い路次で安いヘツトと汗の香に息づまるやうな小料理に落魄したロスの女將さんを見た。赤色テロは培はれた國土への愛惜を捨てた多數の越境者を出した。身に逼る生活の脅威は、奴婢と冷遇した人々にさえ膝を屈せねばならぬ時勢の趨移となつた。暗い電燈に映る薄化粧もニラ臭い客相手にと思ふと慘々しい。 (印畫の複製を嚴禁す)//● 場末の料理屋 (大黒河) ふと細い路次で安いヘツトと汗の香に息づまるやうな小料理に落魄したロスの女将さんを見た。赤色テロは培はれた国土への愛惜を捨てた多数の越境者を出した。身に逼る生活の脅威は、奴婢と冷遇した人々にさえ膝を屈せねばならぬ時勢の趨移となつた。暗い電灯に映る薄化粧もニラ臭い客相手にと思ふと惨々しい。 (印画の複製を厳禁す)

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