atoingashu008
37/190

●城壁(綏中) 澄み切つた蒼穹の下に曝された灰黑色の破壁に春の陽は照りつけ、代赭色の畝の起伏にはやがて萌ゆる草の香がかげらふ。どこかに驢馬のだるい嘶きが聞えて日は今盛りである。 綏中城は唐末の建設にかゝるものと稱せられて居るが壞れかゝつた殘壘の跡には未だ新らしい事變の苦戰を物語る記念も殘されて居る。 (印畵の複製を嚴禁す) //●城壁(綏中) 澄み切つた蒼穹の下に曝された灰黒色の破壁に春の陽は照りつけ、代赭色の畝の起伏にはやがて萌ゆる草の香がかげらふ。どこかに驢馬のだるい嘶きが聞えて日は今盛りである。 綏中城は唐末の建設にかゝるものと称せられて居るが壊れかゝつた残塁の跡には未だ新らしい事変の苦戦を物語る記念も残されて居る。 (印画の複製を厳禁す)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 37

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です