atoingashu009
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●秋の陽(懷柔城外) 日脚の短い秋の陽はまだ暮るゝに早く道畔に並ぶ楡柳の疎影を小徑に落して居る。ものうげに驢馬の一群がカタコトと殘す跫音がどこかに消えると、あとは遠くの鶏の啼聲のみで田舎の晝は寂しい程靜かだ。やがて土地名物の棗が熟し落花生がとれて赤い串さしの山櫨子が子供を喜ばすのも遠くはあるまい。 (印畵の複製を嚴禁す) //●秋の陽(懐柔城外) 日脚の短い秋の陽はまだ暮るゝに早く道畔に並ぶ楡柳の疎影を小径に落して居る。ものうげに驢馬の一群がカタコトと残す跫音がどこかに消えると、あとは遠くの鶏の啼声のみで田舎の昼は寂しい程静かだ。やがて土地名物の棗が熟し落花生がとれて赤い串さしの山櫨子が子供を喜ばすのも遠くはあるまい。 (印画の複製を厳禁す)

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