ajiataikan002
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居庸の殘壘//直隷省//居庸の残塁 (直隷省)//南口から居庸關を經て八達嶺に至るの間、秦漢の昔は半里に一烽火臺、一里に一堡壘、一堡壘には小兵を駐めて防禦に備へたといはれる。現存せるものは元朝時代に修築したものであり、それすら多く壞滅に歸してゐるとは云へ、古色蒼然、峽路を挾んで巖の上に嚴然と聳ゆる殘址は、嘗てありし日の陣形とそこに織り込まれた幾多の史話とを物語る、殘壘を仰ぐ者よ、地上一切の榮華を、永劫の時の流があとかたもなく運び行くを思へ、日暮風に對して古戰場を吊ふの文を誦してもみよ懷うたゝ切なるものがあらう。//南口から居庸関を経て八達嶺に至るの間、秦漢の昔は半里に一烽火台、一里に一堡塁、一堡塁には小兵を駐めて防禦に備へたといはれる。現存せるものは元朝時代に修築したものであり、それすら多く壊滅に帰してゐるとは云へ、古色蒼然、峡路を挟んで巌の上に厳然と聳ゆる残址は、嘗てありし日の陣形とそこに織り込まれた幾多の史話とを物語る、残塁を仰ぐ者よ、地上一切の栄華を、永劫の時の流があとかたもなく運び行くを思へ、日暮風に対して古戦場を吊ふの文を誦してもみよ懐うたゝ切なるものがあらう。//

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