ajiataikan002
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狼煙墩//直隷省南口//狼煙墩 (直隷省南口)//昔、支那の王樣が、お氣に入りの妃の笑顏がみたいばかりに、事もないのに栙(へんは火)臺に火を擧げさせた、栙(へんは火)火が擧がるのは蠻族が攻め込だとか、謀叛をした者があるとか、所謂有事の際にきまつてゐるのだ、で諸侯は、すはとばかり兵を率ゐて都に集つて來た、と、何事ぞ、王樣は至極涼しい顏をして「お前達は何しに來たのか」との御意。面喰つた諸侯の顏の可笑さに妃は始めて破顏、王樣も始めて御滿悅ー浪漫的な連想を呼び起す栙(へんは火)臺は、南口から長城へかけて到所に殘つてゐる、圖は北京の方を望んで立つ南口の栙(へんは火)臺、麓は小さな廟、その前には淸冽な谷水がはしつてゐる。//昔、支那の王様が、お気に入りの妃の笑顔がみたいばかりに、事もないのに栙(へんは火)台に火を挙げさせた、栙(へんは火)火が挙がるのは蛮族が攻め込だとか、謀叛をした者があるとか、所謂有事の際にきまつてゐるのだ、で諸侯は、すはとばかり兵を率ゐて都に集つて来た、と、何事ぞ、王様は至極涼しい顔をして「お前達は何しに来たのか」との御意。面喰つた諸侯の顔の可笑さに妃は始めて破顔、王様も始めて御満悦ー浪漫的な連想を呼び起す栙(へんは火)台は、南口から長城へかけて到所に残つてゐる、図は北京の方を望んで立つ南口の栙(へんは火)台、麓は小さな廟、その前には清冽な谷水がはしつてゐる。//

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