ajiataikan003
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冬淺き國境//義州//冬浅き国境 (義州)//1926.12//傾斜の緩い藁屋根の上に、冬の日が慌しく傾いて行く午下りである。|河を隔てた彼方の岸では、眞黑か紺でなければ着ないこの頃なのに、此の岸では、着るものすべてが眞白である。馴れない對岸からの旅人の眼にはあの黑光りのする着物とこの眞白い綿入との對照が、國境と言ふ觀念を通り越して、人間の習慣への執著の強さにおび江させるのだ。|(一九二六、十二撮影、不許複製)//傾斜の緩い藁屋根の上に、冬の日が慌しく傾いて行く午下りである。|河を隔てた彼方の岸では、真黒か紺でなければ着ないこの頃なのに、此の岸では、着るものすべてが真白である。馴れない対岸からの旅人の眼にはあの黒光りのする着物とこの真白い綿入との対照が、国境と言ふ観念を通り越して、人間の習慣への執著の強さにおび江させるのだ。|(一九二六、十二撮影、不許複製)//

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