ajiataikan007
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殘雪を踏んで//老嶺//残雪を踏んで (老嶺)//1930//陽氣に早い木の梢には、もう新芽が開いてゐる四月のなかば過ぎ、老嶺の山道にはまだ踏みつけた雪が解けないでゐる。|路は、行つても行ても、幾らかの常綠樹を混へた雜木林だ。覆ひかぶさつた木立が、雨模樣の霧に今日は何となく暗い。護衛の巡警が時々銃の臺尻を抱えては四方を睨め廻した。|さう言へば老嶺は、馬賊に聞ゑた山だつた (一九三〇年撮影)(印畵の複製を禁ず)//陽気に早い木の梢には、もう新芽が開いてゐる四月のなかば過ぎ、老嶺の山道にはまだ踏みつけた雪が解けないでゐる。|路は、行つても行ても、幾らかの常緑樹を混へた雑木林だ。覆ひかぶさつた木立が、雨模様の霧に今日は何となく暗い。護衛の巡警が時々銃の台尻を抱えては四方を睨め廻した。|さう言へば老嶺は、馬賊に聞ゑた山だつた (一九三〇年撮影)(印画の複製を禁ず)//

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