ajiataikan012
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龍王廟//竜王廟//金州城の西北に向ひ行くこと十數町にして、金州灣に屹立せる丘上に一宇を見る。これ金州の龍王廟にして、風光明媚を以て世に知らる。廟には龍王電公・電母・風伯・雨師・雨浪神等を祀る。|廟後に塚の如きものあり、土人傳へて云ふ。雨師小伯龍の母の墓と。毎年秋になり霜が降る頃になると、小伯龍は天より降り母の墓に詣り、翌年の風雨雪を下す地方の敎示を受け歸る。故に常に龍王に祈り、雨雪の順調を請はねばならぬと云ふ|又廟の附近に刀や蛙や魚等に幾分似た石塊ありこれ等に就いて下の如き傳說がある。昔々大昔、蛙と魚の主が此の地方に棲み時々大水を出し、村の人々を溺死せしめたり畠を荒したりするので、村人達は頗る困り、關公に願ひ退治を請ふた。關公は村人達の難儀を救はんため大刀を以て仇をなす蛙と魚の主を斬り殺した。其の時の魚と蛙と刀は化して石になつたと傳ふ。蓋し此の傳說は此の地方が北大河の洪水の結果害を受けたる寓意であらう。//金州城の西北に向ひ行くこと十数町にして、金州湾に屹立せる丘上に一宇を見る。これ金州の竜王廟にして、風光明媚を以て世に知らる。廟には竜王電公・電母・風伯・雨師・雨浪神等を祀る。|廟後に塚の如きものあり、土人伝へて云ふ。雨師小伯竜の母の墓と。毎年秋になり霜が降る頃になると、小伯竜は天より降り母の墓に詣り、翌年の風雨雪を下す地方の教示を受け帰る。故に常に竜王に祈り、雨雪の順調を請はねばならぬと云ふ|又廟の附近に刀や蛙や魚等に幾分似た石塊ありこれ等に就いて下の如き伝説がある。昔々大昔、蛙と魚の主が此の地方に棲み時々大水を出し、村の人々を溺死せしめたり畠を荒したりするので、村人達は頗る困り、関公に願ひ退治を請ふた。関公は村人達の難儀を救はんため大刀を以て仇をなす蛙と魚の主を斬り殺した。其の時の魚と蛙と刀は化して石になつたと伝ふ。蓋し此の伝説は此の地方が北大河の洪水の結果害を受けたる寓意であらう。//

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